「受け継がれた伝統!」
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VS 大阪工大高校

平成17年 1月 1日(土) 曇り時々みぞれ

近鉄花園ラグビー場 第一グランド


レフリー. 高木雄一郎氏

憧れの花園第1グランドでの試合がもうすぐ始まる。間違いなくベスト8をかけた壮絶な試合となる。相手は大阪工大高校である。全国に名前を知られる強豪校である。昨年は東海大仰星高校に大阪府の決勝で敗れ、花園に来ることができなかった。だからこそ今年にかける思いは相当なものがあるはずだ。また、サイズも相当大きい。我らが流経柏が久々にベスト8の壁を打ち破るにはこれ以上の相手はいない。

 しかし、大工大は二回戦で盛岡工業と戦い僅差のゲームで勝ち上がってきた。強豪とはいえ、彼らにも花園の魔力はある。高鍋高校戦の観戦記の表題を
「見せた、シード校の意地!」としたのには訳がある。春の全国大会で流経柏はシード権を持って盛岡工業と対戦している。この時流経柏は、43 − 5 というスコアでまさに「見せた、シード校の意地!」だったのである。もちろんお互いに春よりも力をつけていると思われるが、大阪工大戦に向けて「意地」という言葉にベスト8の壁を破って欲しいという思いを込めた。

花園第1グランドは、前の試合が行われている。啓光学園と大分舞鶴高校の死闘が繰り広げられていた。この試合の次である。今日のレフリーが舞鶴OBの高木氏ということも何かの縁かなと思った。

惜しくも2点差で破れた舞鶴応援団と流経柏応援団が入れ替わる時、舞鶴応援団の方から「流経柏を応援しますよ!」と声をかけて頂いた。自分たちのチームが惜敗したばかりのことなのに、言葉が心に染みた。

最前列に応援団長が生徒を引き連れ陣取った。そこから上の段に父母たちが陣取り、最後部に生徒たちが陣取った。父母たちを部員が挟み込んだ形の一大応援団である。この陣形は盛り上がること間違いなしだ。応援団長は、試合が始まるに際しこんな言葉を発した。

「二回戦の流経柏の応援が大会関係者から評判となったようです。今日も前回を上まわる一つになった応援をしたいと思います。グランドの選手たちに(気)を送って下さい!」

一年生部員から

「僕たちだけの応援では声が届きません、一緒にお願いします!」といってメガホンが配られた。

一つ一つの言葉に
「みんなで戦うんだ!」という気持ちが伝わってくる。「よし、声の限りの応援をするぞ!」父母たち全員がそう思ったに違いない。

「よーそろー」「りゅけー」「よーそろー」「かしわー」の大応援が始まった。

そして選手たちの一糸乱れのないない円陣の雄叫びが解けた。さあ始まる。

10mラインに沿って両チームがグランドに入ってきた。熱いものが込み上げてきた。


先頭へ
高木レフリーの笛の音がスタンドの静寂を解き放った。
流経柏のキックオフで試合が始まった。キックオフで大工大陣に入ったのだがすぐに陣を戻されゴール前のポイントからSHにインゴールへ蹴りこまれるがドロップアウトに逃れた。立ち上がりの緊張からか動きが堅い。

こういう時に一本のハードタックルが欲しい。と思った時、大工大陣に入ったところで両CTBがナイスプレッシャーをかけた。できたラックでノットロールアウエーのPKを得た。一本のタックルで試合の流れはかわるのだ。

タッチキックからのラインアウトからモールドライブを仕掛けた。大工大FWは流経柏FWの押しを耐えている。しかし再度PKを得て同じ攻撃を執拗に仕掛けた。モールを一つの塊が押し込むが押し切れない。サイド攻撃に突破口を見い出そうとタテをつくが、大工大のディフェンスを破れない。手に汗を握るまさに激闘である。

13分、大工大陣ゴール前10m付近のほぼ中央でPKを得た。キャプテンは迷わずゴールキックをレフリーに告げた。キッカーはこれを慎重に決めて見せた。
得点( 3 対 0 )

「よーし、まずリードだ!」

敵陣深く攻め込んでいて得点できないパターンが最悪であり、トライをとるに越したことはないが、ここでのゴールキックの3点は正解である。
ゲームが少しずつ動き出した。

18分、自陣10m右サイドでのマイボールスクラムからSHがボックスキックを蹴った。このボールを大工大BSがカウンターとなるインゴールへ蹴りこむキックで対抗された。流経柏の上がり気味のBSの裏をかかれた形となり、大工大BSにインゴールでタッチダウンを許した。ゴール成功。
得点( 3 対 7 )

21分、自陣ゴール前10m左サイドのスクラムから大工大NO 8の強烈なサイドアタックをうけた。流経柏FWの必死のタックルで止めるが、SHにボールはパスされトライを奪われた。
得点( 3 対 12 )

接点での勝負がゲームを決めると両チーム共わかっている。どうやってゲインラインを超えるかである。肉がぶつかり、骨がきしむこの戦いにどうしても勝たなければ勝利は見えてこない。まさに「闘球」なんだ、ラグビーは。一人一人が相手に勝つことの大切さ、これが「一人はみんなのために、One For All」なのである。

27分、流経柏はここで闘志を結果に結びつける。大工大ゴール前で得たPKからラインアウトを選択し、大工大FWにモールドライブを挑んだ。自分たちの力を信じた強い仲間同士の見事なパックは、モールを動かした。「押ーせ!押ーせ!」全ての応援の「気」がモールを押した。応援団長の正拳突きがモールを押した。大工大FWも必死に対抗しモールは崩れた。しかし、FL # 7が見事にボールをキープし、間髪を入れずのHOがピックしてゴールに飛び込んだ!「よーし、ナイストライだー!」応援団からの歓声は叫びとなった。
得点( 8 対 12 )

「よーし、ここからだぞー!」

31分、大工大の切り替えは早い。取られても即切り替えてきた。自陣ゴール前まで連続攻撃で仕掛けられた。流経柏FWも必死のディフェンスで対抗するが、ここで大工大はオープンのBSへ展開してきた。流経柏BSは必死のタックルを試みるが抜かれてしまった。
得点( 8 対 17 )

 ここで前半が終了した。凄まじい試合である。流経柏は持てる力をしっかりと出している。あとは仕掛けのバリエーションが欲しいが、ここまでくると「気力」である。勝ちたいという「気力」、これを出し切って欲しい。

応援団は全員「拳」を天に向けて「気」を送り続けている。近くに関西の人がいた。前半開始早々から関西言葉で流経柏を応援してくれている。大阪=大工大と思っていただけに、本当にありがたいし心強い。高校ラグビーをこよなく愛している人の存在に嬉しくなった。

さあ、泣いても笑ってもあと30分である。ベスト8の壁はやぶれるか?!「やってくれー!」心の中で叫んだ。


先頭へ

後半が始まった。
一進一退の攻防が続いている。大工大が少し押し気味であるが、タックルの凄みは前半以上だ。6分、自陣ゴール前での大工大FWのサイド攻撃を音をたてたタックルがバチン、バチンと決まっている。
7分、しかしここでPKを与えた。大工大はトライを狙わず、ゴールキックを選択してきた。
ペナルティーゴールを決められた。
得点( 8 対 20 )

9分、自陣ゴール前まで一気に攻められた。FL # 6の必死のタックルで何とか凌ぐが、うまく左へボールをさばかれトライを許した。
得点( 8 対 25 )

流経柏はここから大反撃に出るが小さなミスでチャンスを潰している。17点差が焦りとなっているのかもしれない。キックで陣地を取りたい気持ちもわかるが、点を取るためには「継続」しかない。
15分、ビッグプレーが出た。CTB # 12とCTB # 13のダブルタックルだ。完璧に決まった二人のタックルは相手のノックオンを誘った。

21分、キャプテン対決の場面があった。お互いにNO 8同士であり、高校ジャパンの仲間であり、最高のライバルであるはずだ。流経柏のキャプテンは大工大キャプテンの突進を見事なタックルで止めた。

23分、大工大ゴール前の大工大ボール、SOは流経柏の猛チャージにたまらずノックオン。ゴール前5mのマイボールスクラムから必死の攻撃を見せた。

25分、大工大ゴール前のラックから、FL # 7が密集の中を潜るがあと10cm届かずにトライとならなかった。

27分、流経柏の必死の攻撃は続く。大工大ゴール前5mマイボールスクラムからSHがブラインドのWTB # 11へパスを送った。WTB # 11は、タックラーをぶちかましてインゴールを狙うが、タックラーの手がボールを弾いた。残念!

28分、流経柏FWは、大工大陣で「これが流経柏のFWだー!」とばかりに、たて続けにサイドを突破していく。
涙がでた。「いけーりゅーけー!」

もう時間がない。キャプテンは「勝つんだー!」と叫んでいるがごとくの阿修羅の突破を何本も見せた。しかし時間は過ぎていく。

34分、ボールがデッドとなった地点でレフリーは無情の笛を吹いた。


ノーサイドの笛を聞いた瞬間グランドの選手たちは、みんな泣いた。膝をついて立ち上がれない選手もいる。そのくらい全員が力を出し切った。後半の最後の10分の猛攻撃は、応援団に間違いなく「感動」を与えた。「感動」を与えたのは応援団へだけではない。来年のチームへもである。

いい試合だった。流経柏のプライドを間違いなく見せた試合だった。そして、間違いなく「伝統」が受け継がれた試合だった。

ここで18期チームにエールを贈ります。

   ( Give) Three Cheers For

          流通経済大付属柏高等学校18期ラグビーフットボール Team

           Hit Hurray ! Hit Hurray ! Hit Hurray !


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